ブラックフライデーから生まれたサイバーマンデー

日本ではお正月の初売りの目玉商品となる福袋、このために年が明ける前から店頭で行列ができる光景は珍しくありません。同様の光景が米国でみられるのが、11月の感謝祭(サンクスギビングデー)の翌日に行われるブラックフライデーです。ブラックフライデーは、いろいろな説がありますが米国では1952年に始まったのが最初と言われています。ブラックというと様々なものを連想させますが、「黒字」という意味も持っています。日本でも、11月は年末商戦に控えて売上げが伸び悩む為、数年前から大手家電メーカでもブラックフライデーを取り入れた企業があります。

ブラックフライデーの歴史は長いのですが、デジタル化が加速しオンラインショッピングを利用するユーザーが多くなったことにより、米国で2005年からにわかに始まったセールがサイバーマンデーです。ブラックフライデーの週末明けの月曜日がサイバーマンデーにあたります。 ブラックフライデーだけで終了せずにサイバーマンデーを作ることで、売上げの漏れを防ぐことができるからです。もともとは、サイバーマンデーはオンライン上のセール、そして、ブラックフライデーは店舗をメインにしていますが年々二つのセールは一つになってきています。

日本では、Amazonジャパンが2012年にサイバーマンデーを日本記念日協会に申請し、認定されています。ただ、日本でのサイバーマンデーは米国とは異なり12月の第2月曜日になります。

米国オンラインセールでの史上最高額の売上げを記録、Amazonも記録更新

今年のサイバーマンデーは、予想を上回り79億ドル(約8940億円)を記録しました。この数字は、米国のオンラインセールの歴史史上最高の売上額となり、昨年と比べると19.3%売上げがアップしています。また、Amazonはブラックフライデーとサイバーマンデーに絡む5日間で1.8億品目以上のの注文が入り、売上額も最高金額を記録しました。

今年の記録は、米国のオンラインショッピングを大きく変える節目となったことは確かで、多くのマーケターが結果分析に注目しています。

サイバーマンデー2018に売れた商品トップ5は、以下の通りです。

1. フィンガーリング

2. エル.オー.エルサプライズ!

3. 任天堂スウィッチ

4. ノートパソコン (Dell またはApple)

5. LG製テレビ

上位2位は人気のおもちゃで、3位に任天堂スウィッチ、4位以下はパソコンや家電になります。数年前まではブラックフライデーと言うと「テレビが格安になる日」というイメージが強かったのですが、売れる商品も変化してきています。

また、今年はEC市場の売上げが30億ドル(約3402億円)になり昨年に比べ25%アップしたことも記録を大きく更新させた要因になります。 今年のサイバーマンデーの平均注文額は138ドル(約1.5万円)で、昨年より6%アップしています。

支払い方法はマスターカードを利用する人が大半を占めたとの結果も出ています。

スマホからの注文は?

2017年は、スマホからの注文は29%でしたが、今年は約1.5倍の42.6%のユーザーがスマホから注文しています。昨年はパソコンから注文していたユーザーが、注文するデバイスをスマホに移行してることが分かります。スマホからの売上げの合計は、22億ドル(約2495億円)になりサイバーマンデー全体の売上げの約27%を占めています。

また今年は、スマートスピーカー等のボイスデバイスを通して注文するユーザーは約3%と予想されていますが、まだこちらの結果は出ていないようです。ボイスデバイスを利用して注文するユーザーは、今後さらに増えていくと見込まれています。

ユーザートラフィック

ユーザートラフィックは、サイト上でのプロモーションから25.3%、リスティング広告25.1%、オーガニック検索18.8%、ニュースレター24.2%、SNSを通してのトラフィックが一番少なく1.1%になりました。注文が集中した時間帯は、仕事が終わってからの夜10時~22時までがゴールデンタイムとなりレベニューが一番高まったと結果が出ています。

サイト上のプロモーションと並ぶ数字で、ニュースレターからのトラフィックが約四分の一を占めています。この結果からも、ニュースレターの配信は欠かせないマーケティング方法と言えるでしょう。SNSからのトラフィックは数字的にはあまり魅力のないように見えますが、ソー シャルユーザーの多い米国では欠かせないツールです。

ユーザーが商品購入の際に重視するポイントベスト3

1 送料無料

送料無料はオンラインセールでユーザーが注目する大きなポイントです。また、当日発送は有料でも、決済から2日後の「ゆっくり配送」であれば無料配送など、EC市場ではユーザーが選択できる送料無料オファーが増えてきています。

2 タイムセール

フラッシュマーケティング(短期的に集客・販売を行う)方法が人気です。今しかない、今買うとお得という心理をつくマーケティング方法です。ユーザーは、制限時間内に安くお得に購入しようとタイムセールがあるサイトを好みます。

3 購入と同時に無料プレゼント(おまけ)がついてくる

例えば、コスメテックを購入する際に、おまけで1週間サンプル無料プレゼントがついてくる等、無料のプレゼントはユーザーの購買欲をそそり購入へ決断させる効果があります。

まとめ

米国の年末商戦は11月のブラックフライデーとサイバーマンデーが大きなショッピングイベントになります。そして、この二つのセールは年々一つのセールになりつつあり、今年はサイバーウィークとして1週間のセール期間を設ける企業も出てきました。

スマホからの注文は年々増加し、スマホとタブレットを合わせるとユーザーの50%以上がモバイル端末から注文しています。また、Googleホーム等のスマートスピーカーの誕生によりボイスデバイスを通した注文は3%になるとの予想があり、今後も増えていく見通しです。

EC市場は今年大きく売上げを伸ばし、今後VRやARが今よりもEC業界で使われていくことによりオンラインセールは拡大の一方と予想されています。

Amazonは、今年のプライムデーでサーバーがダウンし売上げに影響したことをケーススタディとし、サイバーマンデー前にサーバーの管理を徹底したことも成功のポイントと言われています。

日本ではまだ定着していないサイバーマンデーですが、日本のスマホ利用者数は世界と比べても多く、配送は世界一正確な国です。今後、店舗でのお正月セールの総売り上げをオンラインセールが抜く日がくるかもしれません。