日本ではゆとり世代、バブル世代というように世代別の名称がありますが、米国でも世代別の名称があり、モバイル業界ではモバイルユーザーの指標として大きく取り上げられるのが、ミレニアル世代とジェネレーションZです。

ジェネレーションZとは、1995年~2012年の間に生まれた世代を指し、現在米国の人口の約32%を占めます。子供の頃からインターネット環境があり、生活の一部としてインターネットを利用してきた為、ネットを熟知している世代として知られています。数年前からデジタル業界では注目されてきた世代で、どのようにジェネレーションZに広告を見てもらうか、この世代にどのように予算を使うか、そして、どのようにこの世代から信頼を得るか、広告主はデジタルネイティブユーザーへの施策と経験を重ねています。

2019年、今年はインターネットの先駆け世代であるミレニアル世代(1980年代初頭~1990年代半ばに生まれた世代)よりもジェネレーションZの人口が多くなる節目の年になるためジェネレーションZへの注目が高まっています。まず、ジェネレーションZの特徴をまとめてみます。

ジェネレーションZはどのようにモバイルを使用しているのでしょう?

  • 他の世代と比較して、モバイルを利用する時間が長いことが特徴です。平均1週間で11時間モバイルを利用しています。
  • ジェネレーションZは動画を好みます。5つ以上のプラットフォームを使用し、平均68動画を毎日消費しています(50%以上の動画はモバイル上で閲覧されている調査結果があります)。
  • ジェネレーションZは、商品を購入する前や課金する前に、YouTubeでお勧めのレビューを調べてから購入しています。ミレニアル世代と比較してもジェネレーションZは、2倍の量のコンテンツを購入前に参考にしています。
  • ジェネレーションZの約40%がSnapchatを動画の投稿や送信のために使用しています。そして、36%が自分自身を被写体にした動画を送信するメディアとしてSnapchat使用しています。
  • Facebookは、関心のあるイベントを探したり、共有、またはイベントの作成のために使用しています。
  • Instagramは、情報やコンテンツの収集に利用し、インフルエンサーやお気に入りのブランドをフォローしています。そして、ポジティブに自分自身を見せる為のメディアとして扱われています。

ジェネレーションZは、モバイル広告に対してどのように感じていますか?

この世代は、モバイルやデジタルの知識が豊富な為、広告をスキップする方法やブロックする方法も熟知しています。モバイル広告に対してどのように感じているのでしょうか。

  • ジェネレーションZは、広告を嫌っているわけではありません。InstagramとSnapchatに広告が多すぎると感じている若者は僅か11%にすぎません。
  • リワード広告への偏見があまりありません。41%のジェネレーションZが、リワード広告でも自分に関心のあることであれば興味を持って見ています。
  • 広告のオプトアウトをする選択肢を必要とする世代です。自分と関連のある広告か否かの判断力が高い為、ジェネレーションX(1965年-1980年に生まれた世代)は広告のスキップまでに約12.6秒待つ傾向がありますが、ジェネレーションZは約9.5秒後にすばやく広告をスキップしています。

ジェネレーションZはどのようなコンテンツの広告を求めていますか?

他の世代と違い、よくある広告やありきたりの広告には目が慣れているため為、興味を持ちません。

ただ、これは広告に一切興味がないということではなく、ジェネレーションZの興味のあるトピックを絡めたり、ユーザーエクスペリエンスを向上させることのより効果的な広告を配信することが可能です。ジェネレーションZにとって重要となる広告のポイントは以下の通りです。

  • 62%がネイティブ広告を好み、またオーガニック感の強い広告に共感を寄せいています。一般的な広告ではなく、インフルエンサーによる投稿の方が効果的です。
  • ミレニアル世代(1980年代~2000年代初頭に生まれた世代)とベイビーブーマー世代(1946年~1964年に生まれた世代)は友達や家族と連絡を取るためにソーシャルメディアを利用する傾向にありますが、ジェネレーションZは趣味やエンターテイメントを探すためにソーシャルメディアを利用しています。
  • YouTubeは生活に欠かせないと感じている世代です。YouTubeに関わらず動画をメインに利用する世代なので、動画広告は必須と言えます。
  • ジェネレーションZは、社会貢献をしているブランドに強い共感を覚える世代です。90%のオーディエンスが、何かしらの社会貢献をしているブランドから商品を購入したいと思っており、さらに94%が企業は社会に貢献する必要があると感じています。
  • 多様性を好む世代です。今までにない新しいさを感じるデジタル広告を求めています。

まとめ

日本ではミレニアル世代とジェネレーションZは同様の世代として定義されることもありますが、米国ではミレニアルからジェネレーションZの間に起こったインターネットの急速な進歩を背景にふたつの世代は類似点はあるが、別の世代として考えられています。

店舗やインターネット問わず、ショッピングに強い関心を持つミレニアル世代から、店舗ではなくデジタル上でのショッピングを好むジェネレーションZの影響によりインターネットのあり方に変化が生まれてくるでしょう。また、今後CTV(コネクテッドTV)やOTT(オーバー・ザ・トップ)市場の拡大にはこの世代がどのように利用していくかにより、業界を大きく左右していくことは確実です。ジェネレーションZのオーディエンスがピークに達する前に、この世代をよく理解し、準備を整えておくことが成功の鍵になります。